12月 282022
 

俺はエヴァンゲリオンも庵野秀明も嫌いだけど、あのアニメがしばしば「有益な示唆」を含んでいるのは事実。
その中でも、TVシリーズ終盤で惣流・アスカ・ラングレーに対して使徒が行った「精神汚染」というのは興味深い。
これは一言で言えば、(使徒が)人間の心を読んで、その内容を本人に見せつける、というものだ。それをされた結果、アスカは廃人と化してしまう。

俺はこれと同じモチーフを見たことがあるが、それは筒井康隆の小説「家族八景」である。一般に「七瀬シリーズ」の一作目として知られている連作短編集だが、その何話目かで、主人公の火田七瀬がある男性に対して「私は他人の心が読めるのよ」と告げ、実際に男性が考えていることをそのまま発音し続け、それを聞かされた男性は半狂乱になってしまう・・・という内容だったはず。
なぜ筒井康隆が「テレパス」をテーマにしたこの作品を書いたのか俺はずっと興味があって、彼は学生時代に男前だったと自称しており、且つ学校で女生徒に苛められて女性不信になったとも語っている。ある意味「俺と同じ」境遇だ。そういう体験が彼に、女性に対する「神秘的な畏れ」のようなものを抱かせ、ああいう作品を書かせたのではないかと思う。

そして20年前の2chでは人権問題板というカテゴリが賑わっていて、皆でいわゆる同和問題について語っていた。今はその板は閑古鳥が鳴いているが、当時は結構な人気板だった。
ある日そこを見ていたら、誰かが「・・・職場でほんの少し同和行政を批判したら、解◯同盟に知られて、確認会に呼ばれた」と書いていた。そして「・・・思考停止に追い込まれて何も考えられなくなる」とも書いていた。
なぜ「思考停止」に追い込まれたのか、その詳細はなかったが、前述したエヴァンゲリオンや「家族八景」の一節を覚えていたので、まあ要するに『精神汚染』と同じだろう、と、俺はすぐに察しがついた。共に廃人と化してしまったり半狂乱になってしまうわけだから、つまり『思考停止』である。
わかりやすく言えば、中世近世の日本の妖怪に「さとり」というのがいたというけど、まさにアレのことだ。「さとりは人が考えていることを次々に言い当て、人が何も考えられなくなってしまうと、その人の心を食べてしまう」とか本で読んだ記憶がある。
「何も考えられなくなる=思考停止」だから。

そしてゾロアスター教の秘儀には「人の心を読む」というものもあったという。