パラグアイがどんな国か解説

俺が南米のパラグアイに行っていたのはもう10年以上前で、あの国があれからどう変わったか知る由もない。ぶっちゃけ「ろくでもない国」だったけど、今になって冷静にあの国を振り返ることが出来るように思う。パラグアイについて、俺が知っていることを少し書いてみたい。

パラグアイは南米の真ん中にある国で、「世界一の親日国」と呼ばれることもある。それは元々何もなかったあの国に、日系移民が大豆の栽培を持ち込み、現在では大豆の輸出量が世界でも有数になったことから、日系人が感謝を集めたからだと言われている。
事実として南米移民というのは、被差別部落の出身者や沖縄の人が多い、と言われている。けれどパラグアイは、沖縄からの人がいない。かつて日本から南米への移民が段階的に行われ、一番最後にパラグアイへの入植が行われたが、パラグアイ日系移民で偉い者は、みな広島の出身である。この辺は日本の被差別民の構造がそのまま移植されていて、被差別民や沖縄人が住んでいる地域に一番最後に広島人が入植した、という形である。そのシンボルとして、南米最後の日系入植地であるコロニア・イグアスには、広島の厳島神社そっくりの鳥居が建っている。また首都アスンシオン市内には「ひろしま」という日本食レストランもある。
そしてこれはあまり知られていないことだが、南米の日系人には日本の新興宗教の信者がたくさんいて、特に年配の人はほとんどが何らかの新興宗教に入っている。俺が知っただけでも数十の日本の新興宗教が現地で展開している。
そういう宗教の中でも特に注目すべきは、韓国の統一教会である。あるJICAの協力隊員の話によると、パラグアイで韓国人が麻薬と売春に関わっているケースは多いらしく、韓国系移民はキリスト教徒が多い。アスンシオン市内だけで10以上の韓国系キリスト教会がある。日系移民の中に在日コリアンが混ざっているケースも見られる。
市の中心部に日系の旅行会社があって日系新聞を発行し、ネットでも情報発信をしているが、テッド新井という人物と友人らしい。テッド新井はサンフランシスコでガンスクールを運営していた在日韓国人で、ペルーの大使公館占拠事件の時にペルー陸軍の指揮を取った人物で、アスンシオンに来て市内のスラムで射殺された、という人物である。この旅行会社の周辺にはコリアンが多いという印象があった。
また、親族がパラグアイの政治家だったという日系移民がいて、サンフランシスコの神学校を出てキリスト教の宣教師と自称していたが、彼が言うには「パラグアイには明確な悪魔崇拝がある」とのことで、実際に市内には「Colegio Magico(魔術学校)」という黒魔術の学校がある。
上記の旅行会社のブログによると、パラグアイの北部にあるチャコと呼ばれる草原地帯には、日系の人間が作った秘密の射撃練習場があり、日本の元自衛隊員や元警察官が来パして射撃訓練をしている、と書かれていた。日系人で最も成功した実業家の某氏は、チャコに東京都23区と同じ面積の土地を所有しているとして有名で、また以前コロニア・イグアス近辺で統一教会の日本人幹部が誘拐されて身代金を要求されるという事件があったが、その際統一教会もチャコに広大な土地を所有していると明らかにされた。
JICAは元々南米でパラグアイに最も多くの人員を派遣し、ODAもたくさん注入していたが、統一教会の日本人幹部誘拐事件を機に、派遣をブラジルにシフトしたそうだ。JICA関係者にも統一教会の影響はあるらしく、例えば市内のある日系施設には統一教会の人間がしばしば訪れ、「彼は日本で街宣活動をしている」と言われていた。
政治的には、パラグアイは南米で唯一台湾を承認している国で、他の国でチーノと言ったら中国人だが、パラグアイでは台湾人を指す。日本・韓国・台湾がアジアからの移民で、日系移民は農業を、韓国移民は商店を、台湾移民は電気製品店をやっているケースが多かった。アスンシオン市内にはコリアンタウンがあり、韓国移民はテコンドーの道場を複数開いたり、マンガ図書館や韓国ドラマのレンタルビデオ屋を開いたりと、最も活発に勢力展開をしていた。小規模ながら台湾人街もある。しかし日系人街はなかった。
ちなみに若い女を見ると、日系・韓国系・台湾系では、ダントツで台湾系が垢抜けていて綺麗である。これは台湾人が移民後も本国と交流が頻繁にあり、最新のファッションを取り入れているからだと思われる。日系人には、いわゆる「三昔前の日本人」みたいなのが多かったと思う。
パラグアイは南米で最も平均収入が低い国だと言われ、平均月収300ドルだと言われていた。在日パラグアイ大使を務めた某氏は現地で自動車の販売業をしているが、その店は「南米で一番高い価格でクルマを売っているんだ」とJICA関係者が笑いながら言っていた。南米で一番収入の低い国なのに、なぜ一番高い値段で売れるのか不思議である。
ちなみに日系に限らず、旅行会社を経営する者には悪い奴が多いという印象があった。コリアンタウンにある旅行会社の前で、映画レベルでヤバい光景を見たことがある。
それと不思議なことに、パラグアイの国旗には世界で唯一裏面があり、裏面には「赤い帽子をかぶったライオン」が描かれている。何故南米にいないライオンが描かれているのか興味深い。

パラグアイについて、日本にいてはわからないことというと、このくらいだろうか。正直あの国は「南米の魔窟」のようなところで、ゲートなしに素通りできる国境がいっぱいあったり、どうやって収入を得ているのかわからない奴が多かったり、まあろくな国ではなかった。
あの国で会った自称宣教師が「パラグアイというのはどうしようもない国なんだ。でも仕方ないんだ、皆そうやって生きているんだ」と言ったが、推して知るべしだろう。俺があの国に行って得るものはあったのか、ということだが・・・まあ世の中のことが多少は斜めに見れるようになったから、ある意味良かったと思うよ、うん。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です