インド的神話観との相似

印欧語族というのはアーリア人のことで、インド神話もその一種。その「ヴィシュヌ・シヴァ・ブラフマー」という三神構造が、現在の世界の状況と重なってる。

ヴィシュヌの職能は「維持」だが、そもそもなぜヴィシュヌが最も大きな存在かというと、様々な化身、特に最大の人気を誇るクリシュナを化身として取り込んだからと言われる。けれどクリシュナは「黒」という意味で「ダーサ=奴隷」という異名を持つ低カーストの神なので、白人種が支配するインドでは主神たり得ない。
そもそも「維持」という以上は現在の世界をそのまま保持するのが役割である。英語のsaviorが救世主という意味であっても語源がsaveなのは「現在の世界を維持してくれることこそが救い」という思想による。この世の中には様々な問題があり、インドなどはカースト制度による厳しい差別があるが、そういう世の中であってもそのまま維持してほしい、それこそが我々にとっての救いである―――と願う者たちがいて、彼らが救世主を意味する単語をsaveから派生させている。それは当然、世の中を支配する者たち以外にない。
クリシュナは「ヤーダヴァ族の指導者が死後神格化された」と言われるが、つまりベースは実在の人物で、おそらくアーリア人=白人種がインドを支配する過程でそれに抵抗した土着の人々=黒人種のリーダーだった人物のはず。だから仮に職能があるとすれば「救済」で、それはchristという語がkrishnaに由来するという説があることからも自明だ。
であればヴィシュヌが「維持」で英語ならsave、クリシュナが「救済」で英語ならsaviorなら、前者は差別社会の保持、後者はそこで虐げられている人々の解放となるが、お互いが化身なのは矛盾している。つまり本来なら救世主であるべきクリシュナを自身の化身として取り込み、囲い込んでいるのがヴィシュヌである。その理由は、白人種が支配するインドで最大の人気を誇るクリシュナを懐柔して利用している、と考えられなくもない。実際には差別社会の支配者たちはその社会がずっと続くことを望んでいて、だからヴィシュヌは「維持」の神で、化身のクリシュナには「救済」をさせずに封じている―――ような感じだろうか。

ブラフマーはバラモンの神で、三大神といっても他二神のような存在ではない。ただバラモンである以上、古代の法や宗教や祭祀を司る役割である。
そしてシヴァは職能が「破壊」で、事実上インドの神話構造は、ヴィシュヌとシヴァが二大神として君臨するような形である。

こういうインドの神話観は、世界がアメリカ・NATO側とロシア・中国側に二極化している現状とシンクロしていて、一目瞭然で「ヴィシュヌ=アメリカ側」「シヴァ=ロシア側」だ。ブラフマーは「ヴィシュヌの臍から生まれた」と言われるのでアメリカ側になるが、その役割から考えて、スター・ウォーズのシスやイスラエル部族のレビ族のような存在だろうか。
シヴァつまり破壊神がクル族と関連があり「破壊=crash」で、現在のロシア側がロシア・中国・イラン(・モンゴル?)を含むので、神話やメタファー抜きでシヴァといえる。一方ヴィシュヌつまり維持神は、アメリカがパックス・アメリカーナ的に世界を維持してきて、その中に様々な問題を含み、化身としてクリシュナを取り込み封じている(?)のも、やはり現実のアメリカとそっくりだ。

結局いつの間にか、こういうインド的というかアーリア人的な神話観が現実になっているなあ・・・と思った。これがまさしくマトリックスで、それを壊そうとするのがクリシュナなのか映画「マトリックス」のネオなのか、共に「救世主」と呼ばれるわけで。
WWⅡではナチズムを倒すためにアメリカとソ連が手を組んで戦い、最後に広島=秦王国に原爆が投下されたが、今の状況を現出しているのは誰なのか?というのが気になる。

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