⑩雑多な思考による雑多な仮説(その2)

迷える子羊

キリスト教において「迷える子羊」とは信徒のことを指すが、この「羊」はダビデが牧童であったためだと思われる。更に遡ると、インドのクリシュナが牛飼いだったことが、このモチーフの源だったと思われる。
「さかなへんにヒツジ」なら、朝鮮の『鮮』である。日本の神で朝鮮と関わりが深いのはスサノヲだが、これはヨーロッパの神ではヴォータンやオーディンと対応するといわれ、英単語のWATERはヴォータンに由来する。また日本書紀にも「スサノヲ=海原の支配者」と書かれており、これらの神格が水や海の属性を持つことは疑いない。日本でスサノヲを崇拝するのが渡来人系の人々なら、その祖国の朝鮮という語の『鮮』の字が、さかなへんに羊、つまり「海の中の羊」であるのは何故か。スサノヲを主神とする人々が自らを迷える子羊とみなし、スサノヲが海の神であるから「さかなへんにヒツジ」という文字を自国の呼び名にしたのかもしれない。では古代から朝鮮とユダヤ教・キリスト教の繋がりがあったのかということだが、これまで述べた通り日本において秦氏などのユダヤ系の人々が古代から居住し、秦氏のルーツは朝鮮であるから、関係はあったはずである。京都の祇園神社を建立したのは高麗氏といわれ、祇園神社は日本のスサノヲ崇拝の拠点であるから、古代から日本=海の中にある国に「迷える子羊=鮮の人々」は来ていただろう。ユダヤ人が自らを「水から救い上げられる者」と発想することは以前述べたが、だからこそ自らを「海の中の迷える子羊=鮮」と名乗ったのだと思う。
日本では赤ん坊が生まれると産湯につけるが、これは一旦水につけるというバプテストの影響である。水につけるという行為の意味だが、秦河勝やモーセの名が「水から救い上げられた者」という意味を持つので、それと同じに一旦水につけて救い上げる、ということだ。「赤=AQUA」なので、水につけることから赤ん坊と呼ばれるようになったのだろう。
日本神話でアマテラスはイザナギの左目から産まれ、スサノヲは鼻からツクヨミは右目から産まれる。アマテラスは別名を瀬織津姫(セオリツヒメ)といい、これはSEOUL(韓国の首都のソウル)のことだという。太陽神が女性なのは極めて珍しいが、日本でも太陽神は元々男神だったという。日本・南韓国・北朝鮮がそれぞれ3神のどれに対応するかだが、南韓国の首都がアマテラスの名を冠し、北朝鮮がスサノヲだとすると、日本はツクヨミになってしまう。日本は「日の本の国」を称しながら実際には月神の統治する国なのだろうか。太陽神が最高の存在なのはどこでも同じだから、実際には日本は太陽女神アマテラス=南韓国の影響下にあるということだろうか。太陽神が明確な男神でなく、神話上こんがらがって3神が成り立っているのは、日本の最大の不幸だろう。これら3神が産まれるのも、イザナギが川で行った誓約(うけい)からなので、生の誕生と水との関連が見られる。

二匹の獣

古代イスラエル王国が南北に分かれ、北の10支族はどこかへ消えてしまい、南の2部族がバビロン捕囚の後に祖国へ戻った。南は南朝ユダ王国であるが、元々ヘブル人とかイスラエル人と呼ばれていた彼らが「ユダヤ人」と呼ばれるようになったのは、ユダ王国の名称が元だろう。旧約聖書創世記第49章には各支族の紹介文が書かれているが、その中で最大の賛辞が送られているのはユダ族である。南朝ユダ王国はユダ族とベニヤミン族によって成るが、その両者の紹介文は全く対照的だ。ユダ族にはこれ以上ないほどの賛辞が送られ、一方ベニヤミン族には最低限のとってつけたような紹介しかない。イスラエル12支族がシンボルにするもののうち、最も強い生き物はユダ族とベニヤミン族のそれで、それぞれライオンと狼をシンボルにする。しかし創世記第49章でベニヤミン族は「のけ者」に等しい扱いがなされている。私は古代イスラエル王国が南北に分裂した理由やその背景などを全く知らない。しかしそのシンボルが南朝2支族は最も強い獣であるのを考えると、いわば「ライオンvs狼」のような構図があったのかな、と思う。その結果ユダ族が勝ちベニヤミン族が負けたので、創世記第49章のような紹介文になり、彼らを指す言葉として「ユダヤ」という語が一般的になったのではないだろうか。イエスを裏切るのもユダという名の人物だから、ユダ・ユダヤという言葉がその時既にマイナスイメージを持っていたことが推測される。
日本には動物をシンボルとする神社として稲荷神社があり、これは狐であるが、元は狼だったのかもしれない。聖書に「ダンは獅子の子」と書かれダンが弾左衛門だとすると、獅子(ライオン)・狼の南2支族に加えて、その配下(?)のダン族も日本に居住していたということになる。獅子は高麗犬であるから、獅子=ユダ族と敵対する、もっというと北朝鮮と敵対するのは、ベニヤミン族の子孫かもしれない。手塚治虫の「火の鳥」最終章「太陽編」で、日本古来の民族として登場するのは、太陽崇拝をもち狼をトーテムとする部族である。

契約と約束

旧約聖書・新約聖書の「約」というのは「契約」の約だというのは知られている。それはユダヤ人と神との契約を表すという。英語ではTESTAMENTだ。しかし単純な「約束」という語、英語ではPROMISEであるが、これを語源とする神がいる。それはプロメテウスで、神から火を盗み人々に与えたといわれる。彼はその罪により、岩場に鎖で繋がれて鳥に内臓をついばまれ、それが繰り返し繰り返し行われるという、永遠に続く苦痛を罰として受けた。このモチーフがゾロアスター教の鳥葬からきていることは明らかだ。人々に与えられた火は、ゾロアスター教が拝火教であることと通じている。この神プロメテウスの名は、単純な「約束」であるPROMISEからきている。一体古代の人々は、何を「約束」したのだろうか。グノーシスの末裔たる人々については、また稿を改めて述べたい。
ゾロアスター教が一神教の元祖だという意見を目にしたことがあるが、これは明らかに違うだろう。アフラ・マズダとアーリマンの両者が共に揃って初めて成り立つ「善悪2神教」であり、どちらかが欠けても成り立たない。例えば一神教の例としてのユダヤ教だが、これはヤーウェのみが神であり、それを邪魔する障碍として悪魔が現れる。一神教では、神は一人だけで、それ以外の悪魔などはただの障碍に過ぎない。つまりそれがいなくても成り立つ。一方ゾロアスター教は、どちらかが欠けても成り立たない。よって善悪2神教と呼べる。

[2010/11/30]

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