アスンシオンのスペイン語教師の親族トラブルの件

俺がパラグアイに滞在していたのは2008~2009年だが、最後の3ヶ月くらいは訳の分からない状況になり、漠然とした印象では「何者かが俺をテロ実行犯に仕立て上げようとしていて、もう一方の勢力がそれを阻止しようとしていた」という感じだった。途中から日本に帰国していた伊藤とメールで連絡を取り合って、彼が俺にあれこれ指示を出し、その通りに行動していたら最終的に解決した・・・という「印象」だった。
そして一番最後に日本大使館に行って領事の鈴木氏と話した時「今回の出来事って結局何だったんですか。未だにわからないんですけど」と言うと、彼は首を振りながら強い声で一言「知らなくていい!」と言うのみだった。

その一連の件で一つ思い出すのは、Nという人物である。彼は夫婦で一戸建てに住んでいたが、向かいに入江さんという夫婦が住んでいた。
入江さんは夫が元JICAの日本人男性、妻がフェリシータさんといいパラグアイ人女性だった。彼女は元々アスンシオンで生まれたが夫と結婚後に日本に渡りそのまま日本に帰化して日本国籍を取り、しばらく日本に住んだ後、再度夫婦でパラグアイに帰国し外国人登録をして居住しているという、ある意味特殊な経歴の人物だった。フェリシータさんは日本語とスペイン語が共に堪能なので現地でスペイン語教師をしていて、俺も途中から教わっていた。レッスン料は高いと言われていたがちゃんとした教材を自作してしっかりと教えてくれた。
彼女はパラグアイ人なので俺に対して全く普通に接したというか、もちろん夫がJICA関係者の日本人だし彼女自身アスンシオンの日本大使館でも日本語を教えていると言っていたので、日系人社会の一員である以上俺に対して思うところはあったろうが、でも他の日本人のようにDNAレベルで俺を疎外することはなく、数少ない「ちゃんと接してくれた人物」だった。既に老齢だったが俺は彼女を単純に慕って仲良くしているつもりだった。入江夫妻とN夫妻の家は向かい合っていて当然交流があり、コーラスの集まりもしていた。それには伊藤なども参加していた。

上述の「最後の3か月」について述べると、あの当時フェリシータさんもおかしな対応をするようになり、ある日俺が携帯電話で「もう判ってますけど、みんな僕に何かをさせようとしてますよね?何をさせたいんですか?僕に何をさせようとしてるんですか?」と言うと、彼女は小さな声で「言えません・・・」とだけ答えた、ということがあった。
そして同時期に彼女は親族トラブルに見舞われて「自宅を乗っ取られそうになってる」と話した。フェリシータさんの兄妹たちが悪徳弁護士と結託して彼女の自宅を乗っ取ろうとしているとかで、彼女夫婦がDVを働いたのを口実に彼らが土地や家屋の名義を変更してしまい、家を乗っ取ってフェリシータさん夫婦を追い出そうとしているとか、そういう話だった。
当時スペイン語の授業のために彼女の家に行くと、彼女の夫が大量のビラを印刷していて、俺も一枚貰ったが「~~このような恥ずべき内容は一切事実無根であり、我々は徹底的に戦う決意であります」と書かれていた。
そして俺が授業の休憩中に彼女と会話した際にその話題になり、彼女が「自分たちがこの家に住む前から準備されて仕組まれてたみたいで」とか話したように記憶してるが、その時「でもNさんは向かいに住んでたんですよね。それなのにそのこと知らなかったんですか?」と返すと、彼女はハッと目を見開いて「いいえ、知らなかったんじゃないですか」と首を振った。あれは「本当に寝耳に水だった」のか、それとも「自らの悪巧みの穴に気づいたから」だったのか、どっちだったのだろう?

そしてその少し後にフェリシータさん夫婦は市内の別の場所に転居した。行き先はアスンシオン市バスターミナルのすぐ傍に建つコンドミニアム。初めて俺がそこに行った時、彼女は開口一番「ここは警察の偉い人が住んでいて~」と声を潜めて強調した。
だからこれは、Nが裏で糸を引いていたのは疑いないと思う。フェリシータさんが俺と仲良くしているので、彼女夫婦を陥れて自宅を奪って警察の監視下に置くためにそのコンドミニアムに転居させた?もしくは全て狂言で、親族トラブルの話も彼女夫婦のビラも全部お芝居で、単に黒幕(?)の現地警察幹部の住む住居に引っ越して筋書き通り?一体どっちだったのか。
最後に会った時に彼女は「こんな恥ずかしい思いをして、もうこの国から出ていく。ホンジュラスへ行きます」と話した。俺はその後一度も会っていないので消息は知らない。でも彼女は天皇に会ったこともスペイン国王の城に入ったこともあると言い、自身「最初期のスペインからの移民の正統な子孫だ」と誇らしく語っていた。また日本大使館の職員と会話した際「フェリシータ入江って何者なんですか。大使館でスペイン語を教えてるって聞きましたけど、本当なんですか」と訊くと、その大使館員は「大使館でスペイン語を習っている人も、います」と。

・・・この件はもう10数年前の話である。もし本当に事件だったのならICPOが動くような話では、と思うが、俺の関与するところではない。

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